自作小説第1部「Sea or Land」(全3部)
エキスパンション名「Sea or Land」「Truth」「Terminate」
ドミナリアがマーフォーク&ベナリア帝国VSそれ以外に分かれての巨大戦争がテーマ。
ベナリアはファイレクシア侵略軍に滅ぼされた事になっているが、その後何らかの理由で復興した。(その詳細はシーランドブロック第2エキスパンション「Truth」で語られる)

※MTGの事をよく知らない方のために補足説明
「ドミナリア」
http://mtgwiki.com/
ここで左上のところに「ドミナリア」と入れて検索すれば、3つ目に「ドミナリア/Dominaria」という項目があるので、そこをクリックすれば説明が出てきます。


「Sea or Land」

マーフォーク達はしばらくの間、海の中に閉じこもって「この世で一番正しいものは何か」「一体我等は何のために存在するのか」といった哲学的な事象を国中で考えていた。最も、これは彼等の国を統治しているアトランティスの王が「哲学をもっと発達させよ」と発令したような事があった訳では無く、彼等1人1人が自らの意思で興味を持って考えていた。(1)
ある日、マーフォーク族であるイシアールとガリアという名の者が非常に激しい喧嘩を始めた。その喧嘩の発端となった出来事は彼等の血族の歴史に関する事で、イシアールの代々先祖の家系は皆あまり頭がいいとは言えない者達ばかりだった。しかしイシアールは将来学者になりたいという夢を持っており、「頭の良し悪しに遺伝など関係あるはずが無い」という持論を彼は彼自身の中に確立させていた。そしてイシアールが勉強していると、ガリアがそこへやって来て「お前が学者に等なれるはずが無い」と彼を罵った。これが喧嘩の発端だった。(2)
イシアールは昔からよく熱心に勉強していたのだが、確かにその割にはあまり頭がいい方だとは言えなかった。いやそれどころか、どちらかと言うと平均よりも少し劣るぐらいの成績だった。しかし彼は周りの冷ややかな目線に耐えながら、ずっと勉学に励んできた。何がそうまでして彼を駆り立てたのかは分からないが、そんな周りの冷ややかな目線に耐え忍んできたイライラがガリアの一言で爆発したのだ。
そこへやってきたのが、アトランティスの王だった。彼は皆にこう哲学的に問い掛けた。(3)
「もしもこの世で1番正しいものに気付けたとしたらば、この2人の喧嘩にもこの2人それぞれが納得のいく答えが出せるのではないか?皆そうは思わないか?我が国にはここしばらく目立ったトラブルは見当たらなかったが、ここでこの2人が喧嘩したのを我々の哲学に答えを出す1つのチャンスだと考えようではないか。皆でこの2人が100%納得のいく答えを考えてみようではないか。そしてこやつ等の喧嘩が皆の思考によって納まったなら、それは哲学を確立させる上での大きなヒントとなるはずだ。そうだろう?」(4)
王のこの意見に反対するものはあまりおらず、皆でそれからしばらくの間この2人を親友にしてしまおうというぐらいの勢いで2人が理解し合う方法を色んな視点から考え始めた。ある者が「とりあえず2人をどこかの仲のいいグループに入れて遊んでみたらどうだろう?」と言えば、別のある者は「いやそれでは根本的な解決にはなっていないだろう。」と言い、また別のある者は「『根本』とは何処にあるのだろう、何を拠点に考えるべきなのだろう」などと言い、他にも「いやとりあえず喧嘩を納めれば、それでいいのではないのか?打ち解けるとかどうとかでは無く」「それはそうだが、仲が良くなるに越した事は無いだろう?」「結局、究極は感情の発端など心理学的な分野から分析していけばいいのではないのか?」…といった色んな意見が飛び交った。そしてそれはしばらくの間白熱して続いた。(5)
そしてとうとう答えらしきものが出た。それは「確かにイシアールの血は代々頭が良くない。遺伝学というものもこの世にあるぐらいだから遺伝が全く関係ないとは言い切れない。ただ、深く関係しているのかというとそうでもない。結局はイシアールの努力、意識次第で何とかなるものだ。そしてガリアの一言については、ガリアはあまり悪気があって罵った訳では無く、イシアールの周りの者は前からイシアールをからかって遊んでいた。ガリアもその流れに少し乗っただけだ。」というものだった。さすが国中で総力を上げて考えただけあって、中々そう簡単には反論の余地が見当たらないものとなっている。これをイシアールとガリアに話すと、2人はたかが自分達の喧嘩に国中が総力を上げて考えてくれたという事実に感謝すると共に、何だか申し訳ないような気持ちになり、この意見もそれなりに納得がいくものであったので、2人はお互いに謝り、何とか事無きを得た。この後も何か他の問題が起こると国中で考え、行動していった。そしてそうこうする内に彼等の団結力は凄まじいものになっていった。(6)
そしてこんなペースで哲学を発達させていたものだから、しばらく年月が経った頃には、マーフォーク達の精神年齢は結構えらいことになっていた。そしてマーフォーク達が次第に海の外の世界も知りたいと思うようになってきていた頃、地上からの使いがマーフォーク達のところへやってきた。その使いの話を要約すると、次のようなものだった。
「お前達は団結力がありすぎる。哲学だか何だか知らないが、そんなに団結されては迷惑だ。早い話、我等の脅威となりつつあるし、お前達は最近地上の世界にも興味を持ってきていると言うじゃないか。大体、そんな哲学的な事をそこまで考えてどうするつもりだ。この世は分からない事で溢れているからこそ、色んなドラマや色んな感動が生まれ、我等生き物はそこに存在意義を見出すのだ。即刻、この国で哲学を発達させる事を止めて頂きたい。この我等地上の警告を無視するならば、我等はお前達の国に総攻撃を仕掛けるつもりだ。我等の大きな脅威とならぬ内にな」(7)
マーフォーク達はこの意見には大反対だった。「この世が分からない事で溢れていたら、分からない事を理解していき、真実を探し求めていく事に我等生き物は生涯を費やすべきだ。そしてその結果全ての物事を理解できたとき、全ての生き物はそこに存在意義を見出せる」というのが彼等マーフォークの考えだった。そして両者、地上と海中の対立はこの後も深まるばかりで、とうとう戦争が起こる事になってしまった。この時は、ドミナリア史上に永遠に残る大戦争になる事はまだ誰にも予測できなかった。(8)
ドミナリア中の海の中にいるマーフォークを全て集めれば恐らく兵の数では地上と同じくらいになるかもしれなかったが、やはり戦争の舞台はどうしても地上が主となってしまうので、地上の世界をほとんど知らない彼等にとっては不安で不安でしょうがなかった。そして戦争が始まったものの、やはり彼等は押され気味だった。そんなとき、マーフォーク達に吉報が入って来た。何と、地上の一部でマーフォーク達と同じ考えを持っている大国があるというのだ。それは一度ファイレクシア侵略軍によって滅ぼされたはずのベナリア帝国だという。(9)
アトランティスの王は早速協定を結ぶためにベナリア帝国に自ら出向いた。ベナリア帝国が元あった場所に行ってみると、確かにそこには紛れも無く大きな国が存在していた。そしてアトランティスの王が王の座に到着したとき、そこに居たのはその時期ベナリア帝国を統治していたクロガーだった。彼等2人はすぐに意気投合し、協定を結ぶことを即決した。「ベナリア帝国は1度滅んだはずでは?」とアトランティスの王がクロガーに問うと、「確かに我等は一度滅んだ、だが復活した理由は私達もよく分からない」という答えが返ってきた。
ベナリア帝国が地上の民であるにも関わらずマーフォーク側に付いたことはあっという間にドミナリア中に広まり、これをきっかけにほかの地上の民はベナリア帝国を嫌うようになる。もちろん彼等のほとんどが最初にマーフォーク達のところへ出向いた地上からの使者と概ね意見が一致していた事も大きな原因であったが。
何にせよ、ここで

マーフォーク、ベナリア帝国 
VS
ベナリア帝国以外のドメイン大陸群の他の国、テレジア大陸、サーペイディア大陸、コロンドール大陸、ジャムーラ、シヴ、オタリア大陸

という構図が完成する事になる。(10)

 (「Truth」へ続く)

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